脳神経内科の中村琢洋と申します。
脳神経内科の分野は近年、脊髄性筋萎縮症や一部の筋ジストロフィーに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド治療を皮切りに、難治性神経免疫疾患に対す るモノクローナル抗体製剤などが次々と承認され、治療の黎明期にあると言えます。更に、治療が不可能であると考えられてきたアルツハイマー病の抗体療法の効果が示され、今後も間違いなく発展し続ける分野です。そして新しい治療が開発されるとともに、正しい診断を下す神経内科専門医のニーズが国内・世界的にも高まってきています。先人達が積み上げてきた古典的神経学的診察法と、最新の治療法を繋ぎ合わせるのが我々の使命であり、この仕事は今後Artificial intelligence(AI)に取って代わられる事の無い極めて重要な役割であります。
当科の教育体制として、後期研修医の皆さんには3-5人程度からなる屋根瓦式のチームに分かれて主に入院患者を担当してもらいます。直接の指導には年齢の近い先生があたるため、上級医に相談しやすい体制が整っています。その中で系統的な神経学的診察法、神経疾患の考え方を学んでもらい、「難解」と考えられている神経疾患を紐解いていくプロセスを強力に身に着けてもらいます。専門性の高い腰椎穿刺・筋電図検査・神経伝導検査なども、上級医の指導のもと積極的に担当してもらい、正確な手技を習得してもらいます。また定期的なミニレクチャー・抄読会・ケーススタディなどを開催しており、最先端かつ高度な診療を習得するため、医局・指導医全体で皆さんの成長をサポートします。
脳神経内科では、いわゆる「不定愁訴」が重要な疾患の手がかりである事も少なくありません。また自律神経障害や傍腫瘍症候群、免疫チェックポイント阻害薬によるirAEなど、極めて幅広く多臓器に関連する疾患をカバーしています。そのため研修を通して、他科の先生との連携を行う能力やジェネラリストとしての能力も重要となってきます。当科では関連病院でもチーム医療を実践しており、大学病院以外での教育体制も整っています。common diseaseから極めて専門性の高い神経疾患まで幅広く経験する事ができるため、皆さんの希望に併せて充実した研修を送ることが出来ると思います。
いま急速に発展している「治す脳神経内科」を目指し、皆さんと一緒に診療ができることを楽しみにしています。